『知恵を出し、実践しよう』(福祉経営余話)

文責:理事長  岩崎俊雄
 
 社会福祉法人制度をめぐる議論が本格的になってきました。平成23年7月の日本経済新聞経済教室に掲載された、キャノングローバル戦略研究所松山主幹の「黒字ため込む社会福祉法人」の記事がきっかけとなった社会福祉法人の内部留保問題は、大きな話題となりました。翌年7月には、財務省が予算執行調査の結果を公表し、それまでの特養の内部留保問題に加え、障害福祉サービスを提供している法人の内部留保額が1法人当たり5億8千万円に達していること等を指摘するまでになりました。
 しかし、松山主幹も指摘しているように、内部留保水準に理論的最適値は存在するものではなく、問題は内部留保を社会還元する意志が無いと疑われる法人が多数存在するところにあるとされるに至っています。
 さらに明らかになったのは、透明性の問題です。社会福祉法人は昭和26年に制度化されて以来、公的な厳しい規制下におかれ裁量の余地がなかったとは言え、施設整備、運営に多額の公費が投入され、かつ非課税という恩典が与えられてきました。しかし、その結果としての財務情報については公表されることなく、厚労省もその詳細な実態を集計したことさえなく、推計値では他に類をみないほどの収支差率となっていることが問題視されたのです。
 このような中にあって、厚労省は平成25年度以降の社会福祉法人の決算書について、各法人自らのホームページや広報誌等で公開することを義務付け、今般、「社会福祉法人の認可について」の一部改正を通知しました。それによると、上記に加え、社会福祉法人現況報告書に社会貢献事業等の実施状況、主要規程の公開状況等を記載するほか、添付書類である財務情報についても電子データによる届出を求めています。
 一方、経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議等からの指摘は、課税問題、第一種社会福祉事業への民間参入問題、非営利ホールディングカンパニー型法人の創設等合併を含む大規模化問題にも及んできています。厚労省も「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」を設置し、全国社会福祉法人経営者協議会のメンバーも加え検討を重ねており、近々とりまとめが予定されています。
 社会福祉法人関係者の間には、嵐はすぐに通り過ぎる、との楽観的な見方もありますが、今回の改革が、日本経済の再生、財政再建を目指した国の将来を左右する大改革の一環であることを考えると、簡単に片付けられる問題とは思えません。大胆な金融政策、機動的な財政出動に続くアベノミクスの第三の矢である民間投資を喚起する成長戦略、その一翼を担うのが社会保障分野であるとされているのです。
 言い換えれば、社会保障分野はやり方次第では成長分野へと転換が可能であり、良質で低コストのサービス製品を国民に提供できる大きな余地が残された分野である、とする国策が根底にあり、今後も厳しい改革のための指摘が続くものと思います。
 このような中にあって、すぎのこ会がこれまで培ってきたセーフティネット構築のための経験と実力が試される時が来た、と私は思っています。職員そして関係する多くの皆さん、再び知恵を出し、そして実践しようではありませんか。まさに「ときは今」でしょう。

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