変えてはならないもの(福祉経営余話)

文責:理事長  岩崎俊雄

 最近のNHKの放送を見聞きし、改めて福祉とは何かを自問自答しています。
 障害者が65歳になると、障害福祉から介護保険のサービスに変わることで、サービスが減ったり負担額が増えたりする「障害者苦しめる〝65歳の壁〟」の報道。支援費制度スタート時に問題視したことが、現実化してきたのです。そんなことにはならない、とした当時の担当者に説明を求めたいと思ったものの、相次いで報道された福祉の現実に、その勇気を失いました。
 「おなかいっぱい食べたい~子どもの貧困~」。給食がない夏休みが終わる頃になると体重が減る子どもがいる、このままでいけば体調を崩す子どもも出るのではないか、というのです。このような貧困状態にある子どもの割合は6人に1人、過去最悪の数値になっているようです。食の貧困はなぜ起こり、どのように子どもの成長を脅かすのか、さらにはどうすれば貧困という負の連鎖を断ち切れるのか、各地での取組が紹介されました。
 また、「老人漂流社会〝老後破産〟の現実」というショッキングなニュースも放送されました。ひとり暮らしの高齢者は600万人と言われていますが、そのうちの半数、約300万人が生活保護基準以下の年金収入で、貯蓄もなく破産寸前の状況に追い込まれ、「医療や介護のサービスを受けられない」という訴えが相次いでいるというのです。
 子どもの貧困、高齢者の破産等と比較すれば、障害者の65歳の壁は当たり前のこと、と一蹴されそうな状況のようです。自助、共助、公助という考え方、税金で賄われるサービスよりも保険によるサービスを優先するという国の方針からすれば、65歳以上の障害者も一般の高齢者同様に介護保険の適用を受けるのが原則、という指導がこれまで以上に強く打ち出されることが予想されます。
 子育て支援、高齢者介護の在り方をリードしてきた障害者福祉の考え方が、少子高齢社会の急激な進行に伴って大きく変わろうとしている、否、福祉の考え方そのものが転換を迫られているのではないか、と感じています。しかし、変えなければならないものを変える勇気とともに、変えてはならないものを主張していくことも私たちの責務ではないでしょうか。

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